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お口と身体の関係について PART3の③ お口と糖尿病について
糖尿病の従来の薬剤はSU剤で血糖値とは無関係に血糖を下げていたので、低血糖の副作用がありました。最近承認されたインクレチン関連薬はインシュリン分泌を増やすホルモンであるインクレチンの濃度を調整する薬です。これは食後の血糖値上昇を抑えながら、低血糖を起こす確率が低い画期的なものです。今までは歯科治療時に麻酔や外科処置時に低血糖の心配がありましたが、この薬剤のおかげで、投与下の患者さんはリスクが減りました。ただし、やはり血糖が高い患者さん、安定しない患者さんは治療時の感染に注意し、外科的治療後は治癒遅延の可能性もあることは説明いたします。また他の合併症も把握しなければいけません。念のため歯科治療前後は普段通りの食事とお薬投与を励行することも大切です。
お口と身体の関係について PART3の② お口と糖尿病について
日本糖尿病学会は今年の集会で新しい血糖コントロール目標はHbA1cを指標とし、合併症予防のための目標値は7%未満としました。HbA1cは血中のヘモグロビンにグルコースが結びついた糖化ヘモグロビンで、過去1、2か月の平均血糖値を読み取ることができます。今までは日本独自の検査値と国際検査値がありましたが、混乱を招くので段階的に移行が行われてきました。今年の4月からは国際検査値で統一することになりました。さてお口の疾患特に歯周病は歯肉に炎症を引き起こす病気ですが、歯周病菌の内毒素や酵素の増加により血中のTNF-αといわれるたんぱく質が増加します。これがインシュリンの働きを妨げるといわれています。つまり歯周病になると糖尿病にもなりやすくなるといわれています。最後に生活習慣で糖尿病と歯周病に共通する予防法は①禁煙②お酒は節度をもって③野菜は多くとる④ゆっくりよくかんで食べることが大切です。
くりのみ保育園春の歯科健診を終えて 虫歯予防について提言③
このように日常生活においても虫歯は予防できるのです。さらにかかりつけの歯科医院でフッ素を定期的に塗ってもらったり、虫歯になりやすい奥歯に予防的に白い樹脂の詰め物(シーラント)をしてもらったりすると格段に虫歯の予防効果は上がります。なにしろ一番大切なのは、かかりつけの歯医者さんに定期的に診てもらって歯ブラシのチェックを受けるとか日常生活の注意点について指導を受けるとか、なにも歯科医院では歯を削って被せたり詰めたりするだけではないのです。どうぞ、お子様のお口の様子を気にすると同じぐらいにご両親が虫歯の予防についての正しい知識を持っていただき、お子様の輝ける未来に向けて応援していただきたいと思っております。
くりのみ保育園園医 いしづか歯科医院 石塚 基晴
くりのみ保育園春の歯科健診を終えて 虫歯予防について提言②
砂糖に関しては、お子様におやつを与えるときは、なるべく時間を決めて砂糖を多く含んでない、しかもお口の中に長時間残らないものを選択すればいいでしょう。具体的には果物(リンゴ、バナナ、みかん)、せんべい、チーズなどが良いもので逆にキャラメル、飴、キャンディー、ウエハース、コーンスナックなどは虫歯になりやすいおやつといえます。できれば砂糖不使用でキシリトール入りのおやつがおすすめです。また、おやつは幼児にとって食事の一部であり楽しみでもあります。食べ方の工夫でも予防をすることができます。一律に甘いものはダメというのではなく、甘い食べ物と甘くない飲み物との組み合わせとか、逆に甘くない食べ物と甘い飲み物の組み合わせで工夫することも可能です。たとえば、ケーキとお茶、ジュースとおせんべいなどです。
時間に関しては酸にさらされる時間は短いほど良いので、食事やおやつを食べた後はすぐにうがいしたり、歯ブラシをすべきだといわれていましたが、近年の研究では食後すぐは虫歯菌により少し脱灰されて柔らかくなっているので、すぐ擦るとかえって削れてしまう。なので15分から20分ぐらいたってから磨けば問題ないといわれています。それにも増して重要なことはよく噛んで唾液を出すことです。唾液は虫歯予防に関して非常に重要な要素です。まず、虫歯菌の作った酸を洗い流してくれます。また、酸の濃度を希釈してくれます。唾液中には細菌を殺す酵素が多く含まれ、免疫力を向上させるのです。
コラム くりのみ保育園春の歯科健診を終えて 虫歯予防について提言①
くりのみ保育園の保護者の方々、いつもお子様のお世話ご苦労様です。さて春の歯科検診では虫歯の見つかったお子様が例年よりも少し多かったようです。虫歯に関してはその成り立ちから考えて予防しないと、無意味なものになります。皆さんご存知でしょうか?虫歯はどうしてできるのか?実は歯の周りについた歯垢の中にいる虫歯菌が、お口の中に入ってきた砂糖を餌にして歯を溶かす酸を作ります。その酸の影響で歯に穴が開くのです。PHでいうとPH5.5以下になると歯が溶けるといわれています。虫歯のできる環境にはまず、虫歯菌、歯、砂糖、ある一定の時間の4つの要素が必要といわれています。その中の虫歯菌ですが、実は産まれたばかりの赤ちゃんには虫歯菌はいないのです。歯が生えそろう前の1歳半から2歳半にかけて家族、主にお母様から垂直感染するのです。この時期を「感染の窓」と研究者は言っております。スプーンで温度を確かめた後、赤ちゃんに与えたり、お箸を共有したりすると感染の危険性が高くなります。まず虫歯菌のもとを断つことがなにより先決です。