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乳歯と永久歯について

乳歯は生後6か月頃から生えてきます。まず下の前歯から生え上の前歯が次に生えてきます。2歳半頃までに全ての乳歯が生えそろいます。永久歯は6歳ごろから下の前歯あるいは6歳臼歯といって最後の奥にある乳歯のさらに奥に永久歯が生えはじめます。10歳前後で側方歯群といわれる犬歯、第一小臼歯、第二小臼歯が生え変わり、12歳から13歳までに全ての永久歯が生えそろいます。乳歯と永久歯の交代がスムーズに行われるには乳歯の歯根が永久歯の萌出に伴い上手く吸収され適切な時期に抜けて、永久歯が生えてくることが大切です。

また子供の顎は小さく乳歯も幅が小さいのですが、永久歯の28本から32本に比べると少なく20本です。乳歯は厚みも薄い構造で歯の中にある神経を入れている歯髄腔も歯の大きさに比べて広くなっているので、虫歯になれば神経まですぐ至ってしまう傾向にあります。ひとたび神経まで侵されると、しみたり、噛むと痛くなったり、何もしないのに疼いたりという症状が出やすくなります。

お子様の乳歯の歯並びをみて気付くと思われますが歯の間に隙間があるのがわかると思います。これは後から生えてくる永久歯の大きさが乳歯よりも大きいためそのスペースの確保ということが言えます。ですから乳歯の間は隙間があって当然で、逆に隙間がないと歯並びに関しては、スペース確保の面から考えると心配と言えます。また乳歯の根の近くには永久歯の卵ともいえる歯胚があります。歯胚が成長するにしたがって乳歯の根が吸収していきます。ですから乳歯の前歯の歯根は中央から唇の方向に曲がり、奥歯は根がタコの足のように大きく開いています。

お口の中にある大切なもの

 皆さんのお口の中にはいろいろな大切な器官があります。、まず目につくのは唇、歯、歯肉、舌などですが、もっとよく奥をのぞきますと、上あごの歯の裏側の付け根から広がっているお口の天井部分といえる口蓋。食道や気管の入り口付近にのどちんこ(口蓋垂)がみられます。歯はエナメル質、象牙質、セメント質、歯髄から成ります。エナメル質は身体の中で一番硬い組織と言われています。歯肉は歯を支える歯周組織のうちの一つで変色、出血、腫脹がみられる場合は歯周病の可能性があります。また、喫煙の影響でメラニン色素の沈着がみられるケースもあります。口唇は口唇の周りの筋肉や下にある筋肉により自在に動き、会話したり、笑顔を作ったり、水分を吸ったり、お口を開閉したりします。舌は食べ物を噛むときに物を寄せたり、食べ物の味を感じたり、発音をするときに関与したりします。口蓋は硬い歯肉でおおわれています。舌がよく、くっつく部位で発音時に役立ちます。最後に小帯という組織は主に上唇小帯、下唇小帯、頬小帯、舌小帯がありますがそれぞれ、口唇と歯肉、頬粘膜と歯肉、舌と粘膜とをつなぐひものようなものです。本来はそれぞれ口唇や頬、舌の動きを制限する役割です。小帯の長さや行く場所の相違によりそれぞれの動きが制限されすぎたりした場合は処置の対象となります。

 

 

頭蓋骨とお口の関係

さて、これからお口の仕組みを順を追って説明したいと思います。
頭蓋骨は、大きく2つに分けられます。下あごは下顎骨と呼びます。下あごの上部で歯が並んでいるところを上顎骨と呼びます。実は下顎骨と上顎骨は骨どうしではつながってないのです。この下顎と上顎をつなぐ仕組みが、食べ物をかんだり、会話する上で重要となります。この上下顎をつなぐ部分を顎関節と呼びます。下顎には突起構造があり、これは下顎頭と呼ばれます。また、上顎にはくぼみ構造があり、これは下顎窩と呼ばれます。これらは機械の歯車のようにかみ合いながら動いています。骨どうしですり合うと磨滅消耗するので、手足の関節と同じように軟骨様なものを介しています。この軟骨様なものを関節円板と呼びます。これによって上下の顎が滑らかに動けるようになっています。
また、上下顎の間には、上顎骨に下顎骨を吊り下げて自由自在に動かすために使われる咀嚼筋と呼ばれる筋肉があります。これは4つあり、それぞれがいろいろな方向に下顎を動かしているのです。(側頭筋、咬筋、内側翼突筋、外側翼突筋)
私たちが肉などの大きなものを噛みちぎったり、豆などの小さいものを噛み砕いたり、すりつぶしたりすることができるのは、この咀嚼筋や顎関節が正常に機能しているからこそ可能なのです。逆にこれらの構造体に何らかの異常がみられたときは咀嚼、開口、嚥下が不自由になります。ちまたで言われる顎関節症もこれらの構造体のアンバランスな状態が長く続いたときに発症するとも言われております。

ドライマウス(口腔乾燥症)について パート②

シェーグレン症候群は重篤なドライマウスを生じる最も代表的な疾患です。本症は1933年、眼科医シェーグレンにより報告されました。乾燥性角結膜炎、口腔乾燥症、慢性関節リウマチを主徴とする疾患です。唾液腺や涙腺がリンパ球浸潤に伴い特異的に障害を受け、口腔や眼などの乾燥を起こすものです。原因は不明ですが、自己抗体産生や多彩な全身病変を発症する全身性自己免疫疾患として考えられています。お口の中の症状は、唾液分泌低下により口腔粘膜は乾燥し舌は乳頭が委縮し平滑になり、虫歯が多くなります。さらに唾液量が低下すると咀嚼、嚥下、味覚、発音障害がみられることもあります。治療法は主に副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤が用いられます。お口の乾燥には人口唾液や洗口剤が使われます。難病の一つです。

ドライマウス(口腔乾燥症)について パート①

最近、患者さんの中でドライマウスの症状を訴える方が散見されます。ドライマウスは唾液腺から出る唾液の量が減少することによって引き起こされます。いろいろ原因はありますが、有名なシェーグレン症候群や悪性腫瘍に対する放射線治療が行われたケースや加齢性のもの、AIDS(後天性免疫不全症候群)などによって唾液腺の機能が低下したこと。また、花粉症などのアレルギーの薬である抗ヒスタミン剤や高血圧の薬である高圧利尿剤や抗うつ薬、向精神薬の副作用によるもの。また、夏場の脱水、糖尿病、心不全が原因でドライマウスの症状を呈する場合があります。他には舌痛症や口臭症と同じく心因性のものもあります。この場合は真のドライマウスではなく、歯科心身症と診断されます。実際には唾液の量は減少しておりません。その中でシェーグレン症候群は唾液腺や涙腺が特異的に障害を受ける自己免疫疾患です。ドライマウス、ドライアイ、関節リュウマチなども発症します。男女比は1:15と圧倒的に女性に多く、50代更年期前後の女性に好発するようです。本邦にも80万人前後の患者さんがいると推定されています。決してまれな疾患ではないようです。

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